
今年も猛暑が続き、外で暮らす猫たちにとっては命の危険すらある厳しい季節です。
「外猫の暑さ対策って何をすればいいの?」「置きエサが腐らない工夫は?」
そんな不安や疑問を感じている方に向けて、猫歴35年以上・キャット検定博士の筆者が実践している7つの工夫をご紹介します。
すだれや断熱シート、冷却グッズなど、すぐに始められる対策ばかり。
あなたのひと工夫が、猫ちゃんの命を守ることにつながります。
大切な夏を、少しでも安全に過ごせるように。
なぜ「外猫の暑さ対策」が必要なのか
夏の屋外は想像以上に過酷
最近の異常な暑さは猛暑という自然災害です。
この災害の中、屋外で暮らす猫は、エアコンも扇風機もない世界で、日陰がなければ体を冷やすこともできません。
毛皮を着たまま真夏の炎天下にいるようなもの、と考えるとその厳しさがわかると思います。
猫は暑さに強そうで実は弱い
「猫ってもともと砂漠の生き物だから暑さには強いんじゃないの?」という声も聞きますが、実はそれは大きな誤解。
日本のような高温多湿の夏は、猫にとってかなりのストレスです。
猫は体温調節が得意ではなく、汗腺もほとんどありません(肉球にしかない)。
犬のように口を開けてハァハァすることもほぼないため、猫ちゃんは自分で体を冷やす方法は涼しい所に行くしかないのです。
熱中症や脱水のリスクも
このような環境では、熱が体内にこもりやすくなり、熱中症や脱水症状を起こすリスクが高まります。
とくに高齢の猫や腎臓の病気がある猫は要注意。
体調の変化に気づきにくい屋外生活では、異変に気づいたときには手遅れ、というケースもあります。
だからこそ、外猫に対しても私たちができる限りの暑さ対策をしてあげることが、大切な命を守る第一歩になるのです。
外猫の暑さ対策|今日からできる7つの工夫
1. 日陰(ひかげ)をつくってあげる(すだれ・よしず・植栽など)
まず基本中の基本は「日陰」です。
植木の影や物置の裏だけでは不十分なことも多く、すだれ・よしず・遮光ネットなどを使って、広くしっかりとした日陰を作ってあげましょう。
午前と午後で日差しの方向が変わるので、猫が移動しながら涼めるような設置が理想です。
植栽やグリーンカーテンも、自然な日陰をつくるのに効果的です。
2. 風通しのよい猫ハウスを設置する
屋外に設置する猫用ハウスは、暑さ対策においても大きな役割を果たします。
ごはんや水もこのハウス内に置けば、腐敗をある程度はふせいでくれます。
選ぶポイントは通気性の良さと断熱性。
開放口が出入口の1つだけの密閉型は熱がこもりやすいため、できれば風が抜ける構造(窓があるもの)にしましょう。
足がついていないハウスは、すのこやレンガを下に敷くと、さらに風通しが良くなり、湿気や熱がこもりにくくなります。
\このタイプだとベルトで猫ハウスに固定できます/
\猫ハウスの防寒方法はコチラ/
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3. ハウスの上に断熱シートを活用する
猫ハウスの屋根に室外機用の断熱シートやアルミマットを乗せると、直射日光による熱の吸収を大幅に抑えられます。
できれば猫ハウスの屋根より少し大きめの物を選び、ハウス内に日が差し込まないようにするのがオススメです。
防水タイプを選ぶと急な雨にも対応できます。
4. 水を複数カ所に用意する(陶器皿+日陰)
夏場の猫にとって最も大切なのが水分補給。
外猫の場合、水入れが1つだけだと気温上昇やこぼれ、水切れで飲めなくなることがあります。
日陰に2〜3カ所、水を入れた皿を用意しておくのがおすすめです。
皿は熱くなりにくい陶器製が理想。
毎日こまめに水を交換して、いつでも冷たく清潔な水が飲めるようにしてあげましょう。
脚付きのボウルの脚の中に保冷剤を入れておけば、長い時間冷たい水を飲むことができます。
5. ドライフード中心で腐敗を防ぐ
暑い時期に外に置いたウェットフードは、30分〜1時間ほどで腐ることもあります。
腐ったエサは体調不良や食中毒の原因になるため、基本はドライフード中心にするのが安心です。
ただし水分が不足しやすくなるため、水は多めに設置しましょう。
6. フードボウルの冷却工夫(保冷剤・アルミ板など)
ドライフードでも、直射日光や高温になる場所では酸化や劣化が早まります。
そこでおすすめなのが、保冷剤をフードボウルの下に置く方法や、アルミ板・ひんやりプレートを敷く方法です。
高台式のフードボウルなら足の部分に小さめの保冷剤がちょうど入るので、オススメです。
ハウスの中にフードボウルを設置し、そこに冷却対策を組み合わせると、さらに日持ちがよくなります。
7. 少量ずつ・涼しい時間帯に与える
一度にたくさん出してしまうと、食べ残した分が腐ってしまい、虫やアリが寄ってきます。
できるだけ朝晩の涼しい時間帯に、少量ずつ与えるようにすると衛生的です。
外猫の暑さ対策で注意したいポイントとNG行動
密閉空間は危険!通気性の確保を
夏場に猫が入るハウスやシェルターは、「とにかく涼しくしよう」と思って覆いすぎると、逆に熱がこもってしまい危険です。
特に出入口が1つだけの密閉型は、内部の温度が急上昇しやすいです。
大切なのは通気性と風の通り道。
出入口を複数設けたり、風通しのよい素材を選んだり、日陰で風が抜ける場所に設置することで、猫が自由に出入りできる安全な避暑スペースになります。
また、「とにかく通気性を良くしよう」と考え、ハウスをひらけた場所に置くのも良くありません。
猫はハウスには安心できる環境を求めるので、ひらけた場所ではせっかくのハウスに入ってくれないおそれがあります。
水やごはんの放置には要注意
夏場は水やごはんが傷みやすいため、出しっぱなしには十分注意が必要です。
特にウェットフードは30分〜1時間で腐敗することがあるので、できるだけ朝夕の涼しい時間に与える・ドライフード中心にするなどの工夫が求められます。
水も気づかないうちに熱くなったり、蒸発したりするので、複数カ所に用意しておき、こまめに交換してあげましょう。
虫除けスプレーなど人間用グッズは使わない
人間用の虫よけスプレーやアロマオイルの中には、猫にとって有害な成分が含まれているものがあります。
とくに「ディート」や「ティーツリーオイル」などは猫の体内で分解されにくく、健康被害の原因になることも。
どうしても虫対策をしたい場合は、猫が触れない位置に天然素材を使用する、あるいは猫専用の安全なアイテムを使うなど、十分に注意してください。
今話題のオニヤンマ型の虫除けグッズは木や軒先に吊るしておけば、数年は効果がありますのでオススメです。
※猫に叩き落されない限りは…
外猫の暑さ対策はちょっとしたひと工夫でできる
外で暮らす猫たちは、自分で暑さ対策をするのがとても難しいです。
だからこそ、私たちが「ちょっと気にかける」「ちょっと工夫する」ことで、その夏を乗り切れるかどうかが変わってきます。
例えば、風通しの良いシェルターを1つ設置するだけでも、猫の避難先になります。
日陰に水を2カ所用意するだけでも、命をつなぐ助けになります。
ドライフードを涼しい時間に少しだけ出す、それだけでも腐敗リスクを減らせます。
もちろんすべてを完璧にする必要はありません。
あなたができる範囲でいいのです。猫たちは、そうした小さな優しさを敏感に感じ取っています。
夏の暑さは厳しくても、ひと工夫で外猫たちの暮らしはぐっと快適になります。
大切なのは、少しだけ「気にかけること」。
それが、猫たちの命を守る第一歩です。
まとめ
大事なことなのでもう一度言いますが、最近の暑さは猛暑という災害です。
猛暑が続く夏、外で暮らす猫たちは想像以上に過酷な環境にさらされています。
熱中症や脱水を防ぐためにも、日陰や風通しの良いハウス、水の設置、腐りにくいごはんの工夫など、できることから少しずつ対策してあげることが大切です。
特別な道具やお金がなくても、すだれや保冷剤、ドライフードのタイミングを変えるだけで効果があります。
「ちょっとした配慮」が猫たちの命を守ることにつながります。
あなたのその優しさが、外で生きる猫にとってこの夏を生き抜く力になります。
できる範囲で、無理のない対策から始めてみてくださいね。
猫のためにここまで読んでくださった優しい方へ、どうか猫だけでなく、ご自分の体もいたわってあげて下さい。
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