
猫が複数いるご家庭の避難は、1匹のときよりも何倍も大変です。
特に、猫と猫の荷物の量が多いので、その重さが負担になります。
だからこそ普段から軽い装備で最小化しておくことが、家族全員の安全につながります。
基本的に避難所での猫の物資は全て飼い主さんが準備しなければなりません。

この記事では、猫ごとの個別ポーチ(フード・給水・薬・紙砂・シーツ)を用意する方法、紙砂+シーツの軽量トイレのコツ、そして荷造りの考え方をまとめました。
小さな習慣と軽い装備で、複数の猫でも、いざという時に迷わず動ける体制を整えましょう。
複数の猫との避難はなぜ大変?—“準備・収容・運ぶ”が一気に増える
猫との避難は1匹でも大変ですが、多頭になるほど「準備・収容・運ぶ」が同時多発します。
1匹なら気合いでなんとかなる場面も、2〜3匹では段取りの粗さがそのままリスクになります。
準備が大変:多頭飼いは物資が多い
まずは、多頭飼いでは1匹分✕頭数分になりますので、防災グッズを頭数分準備するのが大変です。
収容が大変:猫をキャリーに入れる
原則は1匹1キャリーですが、多頭飼いで猫同士が仲が良い場合はそんなこと言ってられません。
できればリュックタイプで軽いキャリーに猫を収容しましょう。
また、玄関やリビングにキャリーを置いておき、キャリーに慣れさせることが重要です。
避難時に猫がキャリーに入らずに泣く泣く家に置いてきたという飼い主さんもいます。

運ぶのが大変:猫と猫の荷物と自分の荷物を運ぶ
一度、猫と猫の荷物と自分の荷物を準備して持ってみましょう。
その重さに驚き絶望すると思います。
私はしました。私の場合は猫2匹とその荷物と自分の荷物ですが、約30kgぐらいになり、2km離れた避難所に歩いていけるか不安になりました。(猫の1匹が約8kgあるからかもしれません)
だからこそ“準備&軽量”で設計する
多頭飼いの家ほど、準備と軽さが大事になってきます。
スムーズに避難できるかどうかは準備をしているかどうかで決まります。
また、軽さ=行動力なので、いざという時は軽いほうが命が助かる可能性が高くなります。
多頭避難のコツは「全部持つ」ではなく、持てる量に設計を合わせることです。

複数の猫と避難するために「今日から」できる日常準備
キャリー慣れの5分習慣
いざという時、猫はパニックになっています。
その時にキャリーに入るかどうかは日常の準備で決まります。
- キャリーを常に出しっぱなし(玄関かリビング)
- 中でおやつ→入ったら褒める
- キャリーのふたを軽く閉めて10〜30秒→すぐ開ける
- キャリーに入れて数メートルの短距離移動→戻ってまた褒める
- 週1で階段/外の廊下など環境を変えて練習
※嫌がる子は洗濯ネット→キャリーの順で安全に慣らしましょう。
迷子対策セットは“個体ごと”に
- 名札(名前/連絡先)+迷子札を常時装着
- 最新の顔写真をスマホ・紙の両方で常備
- マイクロチップ番号・ワクチン日のメモ
- 記録カード:性格(抱っこ可否)/持病/薬/食べられない物
→ ジッパー袋にひとまとめ。キャリー外ポケットへ
家族の役割分担を先に決める
スムーズな避難のために家族と役割を決めておきましょう。
- 誰が誰を運ぶか(猫の組合せ相性で決定)
- 順序:安全確認→人間の荷物→猫をキャリーへ→猫の荷物
- 集合場所:玄関 or 駐車場、避難所の確認
- 夜間想定:ヘッドライト配置/停電時の動線確認
→ 月1回、3分だけの練習をやると本番で迷いません。
日常の準備が、そのまま非常時の素早い行動に変わります。

複数の猫との避難は軽い装備が命:最小セットの作り方
多頭は“持てる量”で勝負が決まります。避難して最初の1日をしのげる装備だけに絞りましょう。
「1匹につき」個別ポーチ
- 1匹1キャリー+薄手ブランケット(目隠し・保温)
- 小分けフード 2食(パウチorカリカリをジッパー袋)
- 給水パウチ 1本 or 350mlボトルを共有から取り分け
- 折りたたみ皿 1枚(紙皿+ラップでも可)
- 紙砂 少量(ジッパー袋)+ペットシーツ 2〜3枚
- 常用薬・投与メモ(個体名入り)
→ これを色分けポーチに入れてキャリー外ポケットへ。取り違い防止に最強です。
「世帯で共通」ミニバッグ
- 消臭袋(厚手)/ミニゴミ袋束
- ウェットティッシュ・手袋/小ハサミ・カラビナ
- 替えの紙砂・ペットシーツ 少量
- 記録カードの予備(名前・写真・連絡先・持病)
→ 家族で背負える軽量リュックに集約。1日分で完結する量だけ。
軽量化の考え方(迷ったら“軽い方”)
- 砂は紙砂+シーツを基本、固まる砂は補充側へ
- 食器は折りたたみ or 紙皿、洗い物ゼロ設計
- ブランケットは薄手1枚を三役(目隠し・保温・下敷き)
- キャリーはバックパック型や超軽量ソフトで“両手を空ける”
目的は「今すぐ動ける」こと。
重い物は別の軽い物への変更を検討するのが鉄則です。
持ち出しは“三層”で軽く:ポケット/手持ち/補充
多頭は「全部ひと袋」にすると地獄を見ます。使う順と重さで三層に分けると、一歩が早くなります。
① ポケット(最小・即応)
- おやつ少量(誘導用)
- 給水パウチ1本(脱水予防)
- 投薬メモ&予備の薬(個体名入り)
- 小さめビニール袋(粗相・嘔吐の処理)
→ “今すぐ必要”だけ。身体に常時。
② 手持ち(初日分/家族で分担)
- 1匹1キャリー+個別ポーチ(H2-3参照)
- 紙砂・ペットシーツの追加少量
- 消臭袋・ウェットティッシュ・折りたたみ皿
- 薄手ブランケット(目隠し・保温・下敷き)
→ リュック1つ=初動24時間完結を目安。
→ 合計重量の目標:大人1人あたり6〜8kg以内。
③ 補充(車・自宅・置き場)
- 替え砂・追加水・予備フード
- 折りたたみケージ/簡易サークル
- 予備タオル・ライト・電池
→ 動ける場所にキャッシュ化しておく(車や物置)。初動からは切り離すのがコツ。
三層化の目的は足を止めないこと。
多頭は「軽い=助かる確率が上がる」と覚えておきましょう。
まとめ
多頭の避難で一番大切なのは「全部持つ」ではなく、持てる量に設計すること。
1匹1キャリーを軸に、個体別ポーチと軽いトイレ(紙砂+シーツ)、小分けフードで初動24時間を回せる最小セットに絞りましょう。
荷物はポケット/手持ち/補充の三層で軽く、日常のキャリー慣れと役割分担で日頃からすぐ動ける準備をしましょう。
猫が多いほど、軽さ=行動力=安全です。
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