
地震や台風などの災害は、ある日突然やってきます。
そんな時、猫と一緒に安全に過ごすためには、人間用とは別に「猫専用の防災グッズ」を揃えておくことが欠かせません。
しかし、「何を用意すればいいのかわからない」「とりあえず買ったけど本当に使えるのか不安」という飼い主さんも多いはずです。
基本的に猫が避難所で必要な物資は飼い主さんが全て準備しなければなりません。

この記事では環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」を参考に猫の防災に必要なグッズをまとめました。
また、猫との避難では防災グッズの軽さが重要になってきますので、軽量の物を紹介し、重量も記載しています。
さらに、揃えたグッズの保管方法や、猫を避難に慣れさせるための訓練法もお伝えします。
読んだ後には、すぐにでも防災リュックを用意したくなるはずです。
あなたの猫を守るための第一歩、一緒に始めましょう。
猫用防災グッズを揃える前に知っておきたいこと
猫用の防災グッズは、「とりあえずあればいい」ではなく、災害時に本当に役立つかどうかが大切です。
私もこれまでに20匹以上の猫と暮らしてきましたが、災害の時に「これは役立った」「これは使えなかった」という経験を重ねてきました。
ここでは、揃える前に知っておきたいポイントを3つに分けて紹介します。
災害時に猫と避難する2つのパターン(在宅避難/同行避難)
災害時、猫と過ごす避難スタイルは大きく分けて2つあります。
- 在宅避難
家の中や庭のテントや車など、慣れた環境で避難生活を送る方法です。
→ 水道・電気・ガスの停止を想定し、長期保存できるフードや水、簡易トイレが必須です。 - 同行避難
避難所や親戚宅など、家の外に猫と一緒に避難する方法です。
→ キャリーケースやハーネス、猫の身元を示す情報が重要になります。
どちらのケースになるかわからないため、両方に対応できるグッズを揃えておくことが安心につながります。
猫用防災グッズの選び方の基本ポイント
- 軽量で持ち運びやすい:避難時はできるだけ荷物を軽くする必要があります。
- 長期保存可能:非常食やおやつは、できれば1年以上保存できるものを選びましょう。
- 猫が普段から使い慣れている:災害時は猫もストレスが大きいので、使い慣れた物が安心感に繫がります。
- 多用途で使える:例えばブランケットは防寒にも衝撃吸収にも使えるなど、使い道がいくつもある物がおすすめです。
事前に自治体や避難所ルールを確認する重要性
同行避難ができるかどうかは、自治体や避難所ごとにルールが異なります。
中には「ペットは屋外テントのみ」や「ケージ必須」など、条件付きの避難所もあります。
事前に確認しておくと、必要なグッズの優先度も明確になります。
例えば、避難所で猫をケージに入れるルールなら、普段からケージに慣れさせておく訓練も必要です。

私が住んでいる自治体の避難所は20箇所ほどありますが、ペットOKの避難所は自宅から2km離れた1箇所だけでした。
猫用防災グッズ15選【完全リスト】
ここからは、私が40年の猫飼育経験と防災経験の中で「これは必須」と感じたアイテムを15個に厳選して紹介します。
災害時の猫は、環境の変化や音に敏感になり、人間以上にストレスを抱えます。
だからこそ、安心できる食事・居場所・衛生環境を確保するグッズが命綱になります。
同行避難の場合はそれぞれ7日分をめどに準備しましょう。
食事・水関連のグッズ
1. 長期保存可能なキャットフード
普段食べ慣れているフードを基本に、保存期間が長いものを選びましょう。
急に違うフードに変えると、お腹を壊す可能性があります。
✔ 目安は最低でも7日分。ローリングストック方式がおすすめです。
2. 飲料水・給水ボトル
人間用の水でもOKですが、猫用として分けて用意しましょう。
1日の猫の平均の必要量は約300mlです(猫の体重や病気などによって増減します)。
3. 折りたたみ式フードボウル
シリコン製で軽量・コンパクトにたためるタイプが便利。避難時の持ち運びに向いています。
移動・避難関連のグッズ
4. 猫を入れやすいキャリーケース
災害時はほとんどの猫がパニックになっているので、猫を入れやすいキャリーを選びましょう。
肩掛けタイプやリュックタイプだと移動が楽です。
5. 避難所で使うケージ
避難所では原則として猫用のケージは飼い主が準備することになっている自治体が大半です(当サイト調べ)。
避難所持ち込み用の軽いケージを厳選した記事はコチラです。
また、ケージから出すときや避難所での散歩用にリードやハーネスも準備すると良いでしょう。
首だけでなく、胴体を包むタイプでなければ逃げる可能性が高くなります。
6. ペット用防寒ブランケット
冬場や停電時の防寒用に必要です。
できれば普段使っている物や飼い主さんのニオイが付いている物を。
軽くて保温性の高いフリースやアルミシートも有効です。
トイレ関連のグッズ
7. ポータブル猫トイレ
折りたたみ式や使い捨てタイプがあります。
避難先や車中泊でも使いやすいものを選びましょう。
8. 軽い猫砂
軽量で消臭力のある紙製やシリカゲルタイプがおすすめ。持ち運びやすく、保管もしやすいです。
9. 排泄物処理用のビニール袋
匂いを防ぐ防臭袋を用意しておくと安心。猫砂と一緒にまとめて捨てられます。
やはりBOS(ボス)が最強です。
健康・衛生関連のグッズ
10. 常備薬・療法食
持病のある猫は必ず多めにストックしておきましょう。
動物病院の連絡先も一緒にメモしておきましょう。
11. ペット用ウェットティッシュ
被毛や足を拭いたり、ケージの掃除に使えます。
ノンアルコール・無香料タイプを選んで下さい。
アルコールは猫にとって毒です。

12. ブラシやケア用品
抜け毛対策やスキンシップにも役立ちます。猫のリラックスにもつながります。
情報・安心関連のグッズ
13. 迷子札やマイクロチップ情報
首輪に名前と連絡先を書いた迷子札をつけておくと、はぐれたときに見つかりやすくなります。
自治体によっては避難所の受け入れ条件に「迷子札をつけていること」というところもあります。
14. 猫の写真(印刷・スマホ保存)
万が一迷子になった際、探すためのポスターやSNS投稿に活用できます。
15. 猫の健康記録やワクチン証明書
避難所や預かり先で求められることがあります。コピーを用意したり、スマホに保存しておきましょう。

同行避難の際は軽さ=行動力ですので、選択に迷ったら軽い商品を選ぶようにしましょう。
猫用防災グッズを揃えるコツと保管方法
猫用防災グッズは、ただ揃えるだけでなく「いざという時にすぐ使える状態」で保管しておくことが大切です。
ここでは私が実践している備え方のコツを紹介します。
まとめ買いとローリングストックで効率的に備える
キャットフードや猫砂などの消耗品は、まとめ買いしておき、日常生活で使いながら古いものから順に消費します。
新しいものを補充する「ローリングストック方式」にすると、常に新しい状態で備蓄が保てます。
収納場所は猫と一緒に避難しやすい位置に
防災グッズは玄関や持ち出しやすい場所にまとめておくと、避難時に慌てません。
多頭飼いの場合は、猫ごとに必要な物を分けておくと混乱を防げます。
定期的な点検と入れ替えのタイミング
年に2回は防災グッズの中身を点検しましょう。賞味期限や使用期限の切れたものは即交換。
季節によって必要な防寒用品や暑さ対策グッズも入れ替えると安心です。
猫と防災訓練をしておこう
防災グッズを揃えても、猫がそれらを嫌がって使えないと意味がありません。
災害時にスムーズに避難できるよう、日常から少しずつ慣れさせておくことが大切です。
キャリーやハーネスに慣れさせる方法
避難時にはキャリーケースやハーネスが必須ですが、普段から慣れていないと入るのを嫌がります。
キャリーは部屋に置きっぱなしにして、毛布やおやつを入れ、「安心できる場所」として覚えさせましょう。
猫は「関連付け」が強い動物ですので、できれば病院に行くキャリーとは別に用意しておきましょう。
東日本大震災では、猫がキャリーに入ってくれなくて、手間取っている時に津波に飲み込まれたという事例があります。

ハーネスは短時間から着けて、おやつや遊びとセットにして慣らします。
実際の避難ルートを一緒に歩いて確認する
もし徒歩で避難する場合は、実際に猫をキャリーに入れてルートを歩いてみると安心です。
音や振動に猫がどう反応するかも事前に確認できます。
この時に防災グッズの重さを確認して、軽量化の見直しをしましょう。
家族や近所と連携して猫の避難計画を立てる
自分が不在のときに災害が起きることもあります。
信頼できる家族や近所の人と、「猫をどう避難させるか」「どこにグッズがあるか」などを共有しておくと安心です。
お子さんにも「いざという時猫をどうするのか」を事前に話し合いましょう。
まとめ
猫用防災グッズは、「とりあえず買っておく」ではなく、実際の避難や在宅避難を想定して選ぶことが重要です。
災害時は人間も猫も普段とはまったく違う環境に置かれ、強いストレスや不安を感じます。
そんなとき、食事・水・トイレ・安全な居場所・健康管理の5つをしっかり確保できるかどうかが、猫の命を守る分かれ道になります。
今回紹介した15アイテムをそろえておけば、地震・台風・豪雨など多くの災害に対応できますし、避難所でも周囲への配慮をしながら猫と過ごせます。
ただし、買ったまま保管しておくだけではなく、ローリングストックや季節ごとの入れ替え、そして猫をグッズに慣れさせる防災訓練が欠かせません。
もし「まだ何も用意していない」という方は、まずはキャリーケース・フード・水・猫砂など、最優先の数点から揃えてみてください。
小さな一歩が、大切な家族である猫の命を守る大きな力になります。
いざという時、「用意しておいてよかった」と思えるよう、今から準備を始めましょう。
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